風の歌が聞こえる

少年が憧れ、追い求めたアクースティック・ギターの世界。
今、風にのってあなたに

収録曲
1. 風の歌が聞こえる
2. 織り上げた命
3. きんもくせい
4. 幸せを呼ぶ器
5. 夏に生まれた少年
6. 窓の外は光きらめき
7. 楽童
8. あなたの涙がかわく前に
9. 埋もれたくない
10. 手を引かれておばあちゃんの家へ
11. 筬の子守歌
12. 理想郷を探し求めて
※曲番から解説、曲目からRealAudioファイルにリンク



税込定価¥2,800


安田守彦 待望のデビューアルバム

日本を代表するギター雑誌、ムックに紹介され、多くのギタリスト、ギター製作家の
注目を集めた24弦二重表甲ハープギター、ティプル、ダブルハープギターでの演奏
を含む全12曲。


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M-1.風の歌が聞こえる

天気が良い日は窓を開けてギターを弾く。爽やかな風を感じながら弾いていると、
ギターに合わせて風が歌っているような気がしてくる。

サンプルReal Audio3.0 187k

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M-2.織り上げた命

 織物業を営む我が家ではいつも両親や祖父母の働く姿が見れた。
かつては祖父が、そして今は父が、織り上げた反物を丹念に検品する。
私はこの仕事をしているのを見るのがとても好きだった。
 経糸と緯糸、それだけでは色の付いた糸でしかないのだが、これらが
重なり合うと全く別の物となる。織り上げられる織物はいつ見ても美しかった。
 この場面を見るのが楽しみだったのは綺麗な模様・図柄が見られることと、
このとき正に祖父や父が織物に息を吹き込むように思えたからだ。
反物を広げて光を当てて製品の出来を見る姿は、
私の目には生まれて間もない赤ちゃんを抱き上げているようにも映っていた。
新しい命との出会い。

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M-3.きんもくせい

 インストゥルメンタル(歌のない器楽曲)に興味を持ち始めた21、2歳頃だったと思う。
人の曲を弾くだけでは飽き足らず、自分の曲を作りたいという一心でギターを弾いていた。
ギターを抱えてても、自分のフレーズが思うように作れず、八方ふさがりの状態が続いて
いたそんな或る日、故郷の母から小包が届いた。本や食べ物などが入っていたのだと思う。
それらの上に橙黄色が鮮やかで、華やかに匂い立つ金木犀が一筆箋と共に同封されていた。
 「私の一番好きな花を送ります」 短いが心のこもった一文に感動が後を引き、部屋中を
金木犀の匂いで満たしたまま、ギターを弾き続けた。その日の内にテーマの部分ができた。
その後試行錯誤を重ねながら作った初めてのインストゥルメンタル。

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M-4.幸せを呼ぶ器

 1994年3月6日、名古屋のボトムラインにて、第3回アコースティック・ファン・フェア
が開催された。ギター作家の内田光広さんと出会う。
 その場に展示されていた数台の個性的な内田ギターを見て私は何か運命的なものを感じた。
「もしかしたらこの人は私の夢を叶えてくれる人かもしれない」 かつてハープギターを
作ってくれる所を捜したが私の期待に応えてくれるところはなかった。
日本には作れる人はいないと半ば諦めていた私にとって夢の中での楽器となっていた
ハープギターの話を、内田さんに思い切って持ち出した・・・ 
 その後の24弦二重表甲ハープギターが完成するまでの過程はギターグラフィックVol.3
(リットーミュージック刊 1995年)に5ページにわたり詳しく書かれていますので、この楽器に
興味を持たれた方はぜひご一読下さい。
 この初めてのハープギター曲に付けられた題『幸せを運ぶ器』は、弾く度に私を幸せな
気持ちにしてくれるハープギターのこと。

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M-5.夏に生まれた少年

 19歳の夏、50ccバイクでのツーリングが少年の夏の過ごし方を変えた。
機会があればいろいろな所を走った。学校を出てからはバイクを250ccに代え、
短い夏休みを目一杯使ってツーリングに出かけるようになった。
海岸線を走りながら青い空や海に感動し、緑深い木々の中を幸せな気持ちに浸りながら
山道、林道を駆け巡った。
 ツーリングは本当に素晴らしい。旅先では普段の生活からは決して巡り合えない人に
会えるし、未知のことが見聞できる。これは新しい自分を発見することに繋がる。
ツーリングをしている間の精神は少年のまま。気高く、未知を追い求める、柔軟な精神が
のびのびとして自分の体に存在している。
そういう気持ちを失わないでバイクに乗っている人、ツーリングに出ていく人すべてに、
この曲を捧げます。

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M-6.窓の外は光きらめき

 窓の外は雨。鋭く光る稲妻。少し遅れて、地をも揺るがす雷鳴。
怖いはずなのになぜか光る場面を期待し、じっと窓の外を見ていたりする。

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M-7.楽童

 学生時代に住んでいた町、大阪府吹田市泉町に、自家培養天然酵母のパン屋がある。
店の名は楽童。松永章さんと節さんの夫婦で切り盛りしている小さな店。
自然を大事にした楽童のパンが好きになり、よく店に行くようになった。
その内に節さんが中心になって作っているコンサート企画の一員にしてもらい、
いくつかの企画に加わった。吹田を出る前には、自分の卒業コンサートまで企画して
もらうことになった。今でも忘れられないコンサートだ。
 楽童に興味を持たれた方は、節さん自身の筆による『パン工房「楽童」物語』
という本が草思社より刊行されているのでご一読ください。理屈抜きで楽しめる本です。

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M-8.あなたの涙がかわく前に

 早く泣き止まないと曲が終わってしまう。

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M-9.埋もれたくない

 仕事の関係で東京に1ヶ月だけ住んでいたことがある。
仕事が終わった後、職場の一室にあったクラシックギターを爪弾いているときに出てきた
メロディーをまとめた曲。
 学生の頃、毎日弾いていたギター。勤め出して数ヶ月後には、弾けない日が多くなって
いた。大事なことを無くしてしまいそうで焦りはじめた。 埋もれたくない・・・
 これからもこの時の気持ちを忘れずにギターを弾いていきたい。

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M-10.手を引かれておばあちゃんの家へ

 小さい頃、おばあちゃんの家に行くのがとても楽しみだった。いとこたちに会って一緒に
遊ぶ(遊んでもらっていたと言う方が正しい)のが、一番の楽しみだった
(今ではおばあちゃんから昔の話を聞くことが楽しみで行っている)。
 停留所からおばあちゃんの家まで約1キロメートル。母さんの手に引かれて歩いていく。
緑鮮やかな夏の道も、転びそうになりながら歩いた吹雪の道も目に焼き付いている。
遊びに行けることが楽しくてしょうがなくて・・・ スキップしたり、走ったりしながら
おばあちゃんの家へ向かう小さな自分を思い出しながら・・・

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M-11.筬の子守歌

 京都の丹後は織物の産地。私は丹後でも典型的な、家族だけで営む機屋に生まれ育った。
自動織機が立てる音はかなり大きいのだが、筬が経糸と緯糸を合わせる時に立てるリズミカルな
音を聞いて機屋の小さな子供たちは昼寝をしたり、うたた寝をしたりする。
機音がしていると安心するのだろうか。この曲はその筬の音とは似ても似つかないのだが、
機屋に育つ子供たち、また幼い頃の自分や弟妹の寝顔を思い浮かべて作った曲。
 この曲は6弦ギター用の曲ですが、共鳴効果で豊かなリバーブを得るために、
30弦ダブルハープギターを使用しました。

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M-12.理想郷を探し求めて

この曲を聴きながら、一人一人がそれぞれの理想郷を思い描いていただければ・・・

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安田守彦 Mail: yasuda-m@post.yamaha.co.jp